羊文学『愛について』歌詞考察─やるせない恋も想い出になって─

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みなさんこんにちは!

2025/10/8に羊文学のニューアルバム『Don't Laugh It Off』がリリースされました!

今回はその中から『愛について』の歌詞を考察していきたいと思います。

是非、最後までご覧ください!

目次

1.羊文学『愛について』歌詞

そこにいるのにやけに遠く映る横顔が
離れないから眠れないよ
目が痛むままで朝

彼は「またすぐにね」ってさよならをして
そのあと2度と現れなかった

そんなことばっか積み上がっても
ときどき星があり、奇跡になればいいと思う

愛を言葉にしそびれないように
気をつけて言葉選びがぎこちないまま、
こちらに微笑む

君は「嘘が苦手」って言ってる割に
隠したいこと、笑顔で誤魔化す癖が
あるのを知っているよ

ちゃんと見ているから、
自由になればいいと思う
今だけは、自由になればいいと思う

大した話できないまま
日々は過ぎてゆき
恐る恐るで愛をさがす

そんな2人のこと、奇跡と呼んでいいと思う
奇跡と呼んでいいと思う

2.羊文学『愛について』歌詞考察

2-1.冷めきっている彼との別れ

そこにいるのにやけに遠く映る横顔が
離れないから眠れないよ
目が痛むままで朝

彼は「またすぐにね」ってさよならをして
そのあと2度と現れなかった

そんなことばっか積み上がっても
ときどき星があり、奇跡になればいいと思う

「近くにいるのに遠くに映る横顔」
彼とは恋人関係にあっても、向こうが自分に対して気持ちがないことが彼女にはめくれているのがわかります。

そのことに勘付いている彼女は、どうしようもなくそのことについて考えては、眠れない夜を送ったようです。

そしてとうとう彼は「またね」という言葉を残しておきながら、再び会うことがありませんでした。

自分に対して想いのない相手に半ば振り回されて終わった最悪の失恋ですが、そんな災難を積み重ねる人生の中で何かひとつ特別光を放つような幸福に出会えれば、それでいいと思う…

半分消極的で諦めたような人生観にも思えますが、彼女のそれは真理をついているようにも思えますね。

2-2.嘘まみれの彼を憐み、手放す

愛を言葉にしそびれないように
気をつけて言葉選びがぎこちないまま、
こちらに微笑む

君は「嘘が苦手」って言ってる割に
隠したいこと、笑顔で誤魔化す癖が
あるのを知っているよ

ちゃんと見ているから、
自由になればいいと思う
今だけは、自由になればいいと思う

彼は「嘘が苦手」と言いながら、隠したいことを笑顔で誤魔化す癖があることを彼女は気づいていました。

気づかれている時点で「嘘が苦手」なのは本当な気もしますが(笑)

ただ、口ぶりの割に素直ではなく、よく嘘をつこうとする人ざまがうかがえます。

そしてそんな彼が”微笑みながら”彼女に対してぎこちない言葉選びで愛を伝えていたと。(つまり嘘でしょう…)

そんなことに気づいていながらも別れられなかった彼女、嘘で彼女を繋ぎ止めていた彼の関係が、彼が消息を絶ったことでようやく終わりを迎えたのです。

そうなった今、自分に対して嘘の愛の言葉で関係を繋ぎ止めていた彼の息苦しさを憐れみ「今は自由になればいいと思う」と彼に呆れつつも思いやりも感じられる一言を贈っています。

2-3.ひとつの想い出として幕を閉じる

大した話できないまま
日々は過ぎてゆき
恐る恐るで愛をさがす

そんな2人のこと、奇跡と呼んでいいと思う
奇跡と呼んでいいと思う

嘘で繕う彼と、それに気付きながらも付き合い続ける彼女。

そんな2人がまともに本音で話せたかは、振り返れば怪しく、大した話もできなかったのかもしれません。

そんな中でもなんとか関係を保とうと、関係が終わらないようにと、探り探りで愛を求め続けた2人の関係は結局終わりを迎えました。

はたから見ればうまくいったとはお世辞にも言えない2人の関係でしたが、”ときどき光を放つ星のような幸せ”があった2人の日々は、ひとつの想い出として、出逢えた”奇跡”として、彼女の胸の中で生き続けます。

3.まとめ

大して彼女に対する想いがない彼氏と、それにどこか縋ってしまう彼女の2人の恋人関係を、報われない彼女の視点から描いた歌詞になっていました。

しかし、彼女から見れば嘘をついてまで恋人としての関係を続けた挙句、黙って姿をくらませるという選択肢しか取れなかった彼もまた被害者で、憐れみの対象として映っているようです。

お世辞にも美しく終わったとは言えない恋だったとしても、彼女の心の中では少しの輝きを放ちながら、大事な想い出として生きているところが、甲乙つけ難い人間の感情の矛盾を的確に描いていると言えますね。

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