みなさんこんにちは!
2025/7/23にあいみょんの新曲『いちについて』がリリースされました!
TBS系日曜劇場『19番目のカルテ』の主題歌にもなっています。
今回はそんな新曲『いちについて』の歌詞を一節ずつ考察していきたいと思います!
1.あいみょん『いちについて』歌詞
簡単に幸せになれる方法を探してる
そんな検索ばかり馬鹿馬鹿しい?
いいよ笑って
透明な瞳で世間を見られたら
どこまでも楽になれるのだろうか
落とされた世界が少し泥濘んでいた
はじめからつまづいた
ピストルの音を誰かが遮る
傷つけて形を変えていく生き方で
そうやって居場所を見つけたよ
変わりたくて 生きて
判断が鈍くなる善の端くれで指を切る
気持ちの悪い笑顔が心舐め回す
もう砕いて
どこにでもあるような
お決まりの不幸で
その先で腐るかは自分次第なのか
残された時間が焦りを誘い戸惑う
行きたかった遠くまで
汽笛の音さえ誰かが遮る
運命があまりに静かに蝕んでくる
なぜ自由は優しいふりをして
落とし穴を作るの
落とされた世界が少し泥濘んでいた
はじめからつまづいた
ピストルの音を誰かが遮る
傷つけて形を変えていく生き方で
そうやって居場所を見つけたよ
変わりたくて
変わりたくて生きて
変わりたくて生きていく
2.あいみょん『いちについて』歌詞考察
2-1.簡単な幸福などないと分かってても
簡単に幸せになれる方法を探してる
そんな検索ばかり馬鹿馬鹿しい?
いいよ笑って
自分で簡単に幸せになりたいと思うと同時に、それが実現しないのも同時にわかっている様子です。
分かっているからこそ「いいよ笑って」という諦めや自虐にも取れる言葉でこの一節をしめています。
2-2.純粋に物事を見れなくなってしまった
透明な瞳で世間を見られたら
どこまでも楽になれるのだろうか
どこか疑いを持ちながら物事を見てしまう癖がついているのかもしれません。
歳を重ねていけば、必然と社会的な生き方やマナーなどが身についてきますが、それを手に入れた事によって純粋な物事の見方というのを忘れてしまったのでしょう。
「子どもの頃は楽しかった」という感情をノスタルジーや郷愁的と表現しますが、それに近い感情が彼女の内側には湧いているのでしょう。
2-3.自分の形を歪める生き方
落とされた世界が少し泥濘んでいた
はじめからつまづいた
ピストルの音を誰かが遮る
傷つけて形を変えていく生き方で
そうやって居場所を見つけたよ
変わりたくて 生きて
スタート地点がぬかるんでいたことで、スタートの合図の1歩目からつまづいてしまったようです。
この歌詞が表すところは、スタートラインは同じように見えたとしても、与えられた環境や能力がまったく異なるということだと思えます。
育ってきた環境が劣悪だったり、生まれ持った能力が劣っていれば、何を始めるにもスタートが遅れることは当然でしょう。
そして、そんな生まれ持った環境や才能を埋めるために、自分の形を無理矢理に歪めることで社会やコミュニティに適応し、なんとか居場所を見つけてきたのでしょう。
「変わりたくて 生きて」というのは、本当の意味では「変わりたい」のではなく、「自分のありのままで生きていきたい」という願いなのではないでしょうか?
2-4.偽善にまみれて
判断が鈍くなる善の端くれで指を切る
気持ちの悪い笑顔が心舐め回す
もう砕いて
世間的が口を揃えて「よい」というのだから「よい」という画一的な正義や善行が蔓延している世の中を皮肉って「判断が鈍くなる善」と表現しているのかもしれません。
そしてその端くれで指を切るというのは、それに飽き飽きしているということでしょう。
自己満足のための偽善で心を満たすことを「気持ちの悪い笑顔が心舐め回す」という歌詞になっており、偽善にあふれた世の中によっぽど呆れていることがうかがえます。
2-5.ありふれた不幸に甘えるかは自分次第
どこにでもあるような
お決まりの不幸で
その先で腐るかは自分次第なのか
「特にやりたいことがない」とか「なんか満たされない」とか、そういうレベルの不満を愚痴にして他人と共有することで安心する人は少なくないでしょう。
ここではそれらを「お決まりの不幸」と呼んでおり、愚痴って終わるか、それを克服するのかも自分次第なんだよな…という当たり前のようで鋭い気づきをふと呟いています。
2-6.自由に甘えてしまう
残された時間が焦りを誘い戸惑う
行きたかった遠くまで
汽笛の音さえ誰かが遮る
運命があまりに静かに蝕んでくる
なぜ自由は優しいふりをして
落とし穴を作るの
人生の時間配分というのは自分で全てを握っています。
いつ金持ちになるも自由、一生働くも自由、いつ努力するもしないもの自由。
だからこそ、先延ばしにしたりしてしまうこともしばしばあるでしょう。
しかし先延ばしにすればするほど、未来の自分に託したタスクは膨大なものになり、いい年にもなってくればそれは焦りに変わってきます。
自由はいいものとされがちですが、誰も責任は取ってくれませんし、全てが自己責任です。
そんな事実から目を伏せながら生きてしまえることもまた、自由が作った落とし穴なのです。
3.まとめ
「自分の生き方で」とか「自分のペースで」というリベラルな主張が主流になってきた今、人生の時間の使い方というのは昔よりも私たちの手中にあると思えるかもしれません。
しかし、そんな主張に甘えて身を委ね過ぎてしまった結果、社会に合わせすぎた「自我のない生き方」だったり、「何も満足に遺せない人生」というのもまた蔓延しているかもしれません。
この歌詞ではそんな人生の最中にいる主人公が自分を見つめ直し、迷っている様子が描かれていました。
「お決まりの不幸の中で腐っていくかは自分次第」というフレーズが、今の我々若者世代にはじわじわと効いてくる実感があります。