みなさんこんにちは!
2025/8/6にTOOBOEの新曲『抜殻』がリリースされました!
アニメ『光が死んだ夏』のEDテーマには既にTOOBOEの『あなたはかいぶつ』が起用されていますが、今回の『抜殻』はまたその“裏主題歌”を作るイメージで制作されました。
そのため『あなたはかいぶつ』と同様にアニメと合致するフレーズがふんだんに散りばめられており、アニメ視聴者にはたまらない曲になっています!
今回はそんなTOOBOEの『抜殻』の歌詞について考察して行きたいと思います!
歌詞の内容が『光が死んだ夏』のストーリーに合わせに合わせていることから、当作品の内容をネタバレがない程度に絡めて解説していきます。
アニメ、漫画の方もチェックしながら読んでいただくとより楽しめるかもしれません。
ぜひ最後までご覧ください!
1.TOOBOE『抜殻』歌詞
貴方が見せたその笑顔は
私の知ってるソレと違うし
今更何を脱いだところで
心臓はドキドキしなくなった
やがて蒸し暑いこの世界は
日増しに狂っていく
貴方が話しかけた言葉
きっと人間のソレじゃないし
好きとか嫌いとかの戯言
もはや意味なんてあるのかしら
だけど私はソレでいいから
無理をしないで
真夏に痛み合って混ざり合ってしまえば
命で通じ合って気持ち伝わるかな
怒鳴り合って泣きじゃくってグシャグシャ
本物に成れない私でもいいから
貴方が吐いた本当の嘘が
身体を覆う垢のように
トキシンまみれで飲み込まれる
私はそれも至極恐悦
そこには傀儡が縦列駐車の様な異様な光景
差っ引かれては萎んでいく私と貴方のバースデー
側にいて側にいて時に残酷なインセクトライフ
しんと静まる抜殻の中で一緒に踊ろうか
明日も無情が常ならむ
早く返して
忘れたい 嫌いとか生臭い言葉を
許すために 残りは何が足りない
したり顔の貴方はモノクロバラの棘みたい
刺さったら離れない
痛み合って混ざり合ってしまえば
命通じ合って気持ち伝わるかな
怒鳴り合って泣きじゃくってグシャグシャ
本物に成れない私でもいいから
さも虚しい人生だよな
貴方がいなけりゃ
2.TOOBOE『抜殻』歌詞考察
2-1.もう人間ではない「貴方」への歪んだ執着
貴方が見せたその笑顔は
私の知ってるソレと違うし
今更何を脱いだところで
心臓はドキドキしなくなった
やがて蒸し暑いこの世界は
日増しに狂っていく
貴方が話しかけた言葉
きっと人間のソレじゃないし
好きとか嫌いとかの戯言
もはや意味なんてあるのかしら
だけど私はソレでいいから
無理をしないで
『光が死んだ夏』では、クビタチ村で育った主人公よしきが幼馴染である光が人間ではない”何か”に変わってしまったことを受け入れながらも、葛藤しながら日々を共に過ごします。
これはその「よしき」の視点で書かれた歌詞です。
中身は違くても側は見慣れた幼馴染の光。
“何か”は光に擬態したわけではなく、光の亡骸を使っているので記憶も持っています。
光とするように思い出話をすることもできるし、普通の生活を普通にこなしている。
でも、節々に中身である”何か”の本来の姿だったり、彼が持つ歪んだよしきへの執着が表に現れます。
そのたびによしきは「ああ、本当は光じゃないのに。俺はどうしてこうも普通にしていられるのだろう」と思うわけです。
そんな葛藤の中でもやはり大事な幼馴染である光への執着を手放すことできません。
普通なら許容できない事実を無理にでも飲み込めてしまう程のよしきの歪んだ執着を繊細に描いています。
「中身が光と違ったっていい、人間でなくてもいい。だからせめてそばに居てほしい」
そんな気持ちがドロリとしたワードチョイスによって表現されていますね。
2-2.”何か”のやりばのない執着
真夏に痛み合って混ざり合ってしまえば
命で通じ合って気持ち伝わるかな
怒鳴り合って泣きじゃくってグシャグシャ
本物に成れない私でもいいから
作中では光の中身である「何か」もまた、よしきへの異常な執着を見せます。
その執着は人知を遥かに凌駕したものであり、よしきを自分だけのものにしたいがために自分の中に取り込もうとさえします。
“何か”がよしきの内面に触れようとするたびに興奮のあまり現れてしまう彼の正体や自我が、よしきの心をより遠ざけてしまいます。
その矛盾の中に起こるやりばのないよしきへの執着を見事に表した一節です。
2-3.次第に”何か”にも惹かれていく
貴方が吐いた本当の嘘が
身体を覆う垢のように
トキシンまみれで飲み込まれる
私はそれも至極恐悦
“何か”が光の身体を通じて自身の本心を発したとしても、それは光の言葉ではなく”何か”の言葉に過ぎません。
本音でありながらもニセモノ。
それはまさしく「本当の嘘」と言えるでしょう。
「トキシン」とは生き物が分泌する有害物質のことですが、異形である”何か”がよしきにたいして向ける好意や、取り込み混ざろうとする行為は「トキシン」とも呼べるでしょう。
しかし、よしきは次第に不器用な方法でしか愛情を表現できない”何か”に対しても想いを持つようになります。
そんな裏腹な想いを「至極恐悦」と表しています。
つまり、相手の好意や厚意に対して、大変喜ばしく有り難がるよしきの思わぬ本音が溢れてしまうのです。
2-4.”何か”に取り込まれていくよしき
そこには傀儡が縦列駐車の様な異様な光景
差っ引かれては萎んでいく私と貴方のバースデー
側にいて側にいて時に残酷なインセクトライフ
しんと静まる抜殻の中で一緒に踊ろうか
※これはまだアニメで描かれていない展開ですが、ライターである私自身も原作を読んでいないので、きっとネタバレではないはず!
したがって、この節については曲中でのみ描かれる原作とは別の「もし」の描写と仮定して、私の憶測で解釈していきたいと思います。
ついに”何か”に取り込まれたよしき。
“何か”に取り込まれたその先では、彼が駆除・取り込んできたよしきの身を狙っていた霊的なものたちが列をなす異様な光景が広がっています。
よしきと”何か”が混ざり合う時、2人の存在は足し引きされて新たなひとつとして誕生しようとしています。
光の亡骸(=抜殻)の中でひとつになったよしきと”何か”は、その中で歪んだ永遠の繋がりを誓うのでしょう。
3.まとめ
TOOBOE『抜殻』は、アニメ『光が死んだ夏』の裏主題歌をイメージして制作されたこともあり、アニメのストーリー、繊細な心情変化が歌詞に盛り込まれていました。
主によしきの視点から書かれた歌詞でしたが、光(”何か”)の視点もちらほら散見されましたね。
2人の歪んでいてドロリとした執着や関係性が曲の表面に表れていて、作品特有のじめっとした若干の気持ち悪さのようなものがうまく表現されていました!