羊文学 「絵日記」ー茹る夏に寄せる後悔ー 感想・考察

hitsujibungaku wakamonotachihe
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夏の曲と言えば何を想像しますか??

夏といえば「エモい」「青春」などのイメージがあり、甘酸っぱい恋の歌や、夏祭りに関した歌、自身を昆虫に例えたラブソングまでもが存在しますが…笑

私は夏の曲として、羊文学の「絵日記」をオススメしたい!!

この曲は夏の曲の中でも一風違った曲ですので、まだ聴いてない方はまず聴いてみてください。


羊文学

この曲は2018年7月25日にリリースされた、羊文学の1stアルバムの「若者たちへ」に収録されています。

目次

羊文学「絵日記」の歌詞

どうして?と聞けていたら変わってたこと

沢山あったよな
そうだよな

あの日は透き通るほどの君の声に

わたし真っ黒な気持ちで負けてしまった


アイスクリームは溶ける
少年は空を指差す

あの雲は近づけば消えてしまうね

信号が青に変わる
わたしたちいつまでも

歩いてく
あの嘘は消してしまおう

消してしまおう

消してしまおう


いつからか眠ったまま
クーラーの風が

優しく頬を撫でる
また目を閉じて

アイスクリームは溶ける
少年が空を指差す

光景は夢の中
消えてしまうわ

高鳴って鼓動が走る
わたしたち急がなきゃ

このままじゃ思い出も消えてしまう

消えてしまう

消えてしまう


どうして?と聞けていたら
変わってたこと沢山あったよな

そうだよな、わかってるよ
わたし今もベッドの上で

泣いたりしなくても
すんだこと沢山あったよな

そうだよな
わかってるよ

夏の日は

今日も眩しすぎるわ

羊文学「絵日記」の歌詞考察

どうして?と聞けていたら変わってたこと

沢山あったよな
そうだよな

あの日は透き通るほどの君の声に

わたし真っ黒な気持ちで負けてしまった

後悔とも取れる文言から歌が始まります。

ここで登場人物として「君」が出てきましたね。
「わたし」と「君」のやり取りの中に後悔があるようにも思えますね。

アイスクリームは溶ける
少年は空を指差す

あの雲は近づけば消えてしまうね

信号が青に変わる
わたしたちいつまでも

歩いてく
あの嘘は消してしまおう

快晴の真夏日に2人で歩いているような描写が感じ取れるこのサビの部分では、「わたし」が何か嘘をついてしまった事がわかります。

「アイスクリームが溶ける」という表現は、蒸し暑い外の温度を分かりやすく伝えてくれます。

手に持っているアイスが溶けていて、空にある雲を指差しているということは、時間帯は昼から夕方にかけての一番暑い時間帯でしょうか。

曲名が「絵日記」であることも考慮すると、学校帰りなのかもしれません。

いつからか眠ったまま
クーラーの風が

優しく頬を撫でる
また目を閉じて

アイスクリームは溶ける
少年が空を指差す

光景は夢の中
消えてしまうわ

クーラーの風が頬を撫でるという事で、場面は変わって自宅で寝ている様子でしょうか?

ここで再び空を指差している少年が出てきますが、状況は一変して「光景は夢の中」にあるそうです。

後悔から始まった「わたし」は、夢の中でも少年との光景を思い出しているようです。

ここまで考察してみて、IQ53万の筆者の私はふとひらめきを得ました

「わたし」と「少年」は交際関係にあり、少年から別れ話(友人同士に戻りたい)を切り出されてしまったのではないでしょうか?

少年は別れた後も友人関係で居たいから、気まずい雰囲気を和ませる為に空にある雲を指差して何か話題を振ったのだと思います。

そのように考察していくと、冒頭の「どうして?と聞けていたら変わっていたこと、沢山あったよな」という歌詞にも納得がいきます。

それに続くように「あの日は透き通るほどの君の声に、わたし真っ黒な気持ちで負けてしまった」の部分も自然な意味になると思います。

先ほどまでの恋人同士の別れ話のトーンではなく、友人としての声色で空にある雲について話題をふられてしまい、気持ちの整理がつかずに勢いに押されて黙ってしまうような…

真っ黒な気持ちになってしまったが為に、彼の吹っ切れた声色に負けて「どうして?」聞けなかったのでしょう。


高鳴って鼓動が走る
わたしたち急がなきゃ

このままじゃ思い出も消えてしまう

眠りについても夢の中であの会話が忘れられず、どうして?と聞かなかった自分自身に対しての焦りが出ているように見えます。

「わたしたち急がなきゃ、このままじゃ思い出も消えてしまう」

この一文からそんな心境が見て取れますね。

そうだよな、わかってるよ
わたし今もベッドの上で

泣いたりしなくても
すんだこと沢山あったよな

あの時に「どうして?」と聞けなかった自分に対して、ベッドの上で後悔しながら泣いている様子が歌詞からわかります。

この歌を聴いた人は分かると思いますが、上記の歌詞のその前の小節から、急に早口で畳み掛けるような歌い方になります。

ここではやはり、後悔が押し寄せてきているのでしょうか。

夏の日は

今日も眩しすぎるわ

「わたし」の気持ちは真っ黒でどん底にいたとしても、無慈悲に夏の日は眩しく自分を光の下に晒している。

ベッドの上で泣いている「わたし」、夏の日差しは部屋の中にも容赦なく突き刺さり、より一層「わたし」の影を濃くしてしまうという意味に私は感じました。

「絵日記」という曲名は、夏休みの宿題としての絵日記ではなく、別れ話の場面が鮮明に頭から離れず、そこに「あの時こうしていたら」という後悔の念を日記のように肉付けしているのではないでしょうか。

「わたし」が付いた消してしまいたい「あの嘘」とは、少年の透き通るような声に負けて、別れ話を受け入れてしまった発言のことなのかな?なんて思いました。

羊文学 「絵日記」の感想

歌い出しは後悔の念で始まり、時系列順に紐解いていくような歌詞の構成が非常にこの曲の魅力ですね。

考察の冒頭で私は「アイスクリームが溶けてるから多分昼。」とか言うふざけた考察を披露してしまいましたが…

恐らく「アイスが溶けているのにも気付けていない」という、切ない別れ話の瞬間を文学的に表している歌詞なのかもしれません。

「絵日記」はメロディー的にも、明るくてエモい夏の情景が浮かんできそうですが、歌詞の中身をこうなんじゃないか?と考察しながら聴いていくと、結構ダークな感じなんですよね。

青春やエモさは基本的に良い思い出に使われる印象がある言葉ですが、決して素敵なことばかりではないという事ですね。

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