皆さんこんにちは!
2025/1/29にリリースされたindigo la Endのニューアルバム『MOLTING AND DANCING』はもうチェックしましたか?
「冬」「夜」「雨」にフォーカスしており、失恋や郷愁に強く結びつく歌詞、サウンドが特徴的な本アルバム。
今回は『MOLTING AND DANCING』に収録された11曲の中で1曲目を飾る『ナハト』の歌詞について考察していきたいと思います。
是非、最後までご覧ください!
1. indigo la End 『ナハト』歌詞
2. indigo la End『ナハト』歌詞考察
曲名『ナハト』はドイツ語で「夜」という意味であり、indigo la Endがこれまで描いてきた「夜」を舞台に繰り広げられる失恋ソングとも結びつきますね。
さて、『ナハト』ではどのような失恋が描かれるのでしょうか?
一節ずつ歌詞を考察していきましょう!
2-1.恋の始まり「春」を思い返す
あの日感じた春風は
今も心に吹いている
あなたは違う夜を生きて
同じ季節にいる
冒頭では、主人公が過去の恋愛を思い出している様子が描かれています。
「春風」には、季節の始まりや芽吹の季節である「春」を立てることで「恋の始まり」を暗示する役割があるのでしょう。
また、暖かさを感じる季節ということもあり、かつての恋人との関係の中で感じた幸せや心地よさを象徴しているようにも思えます。
しかしその直後に「あなたは違う夜を生きて」という対照的な表現がくることで、そのかつての恋人とは既に別々の人生を歩んでいることも分かります。
同じ季節を過ごしているというのに、隣にはいないことへのもどかしさが内包された表現になっています。
2-2.復縁に対する諦めと強がり
冷たい予感は大袈裟に
あなたを突き放した
戻れないから
戻らないから
全てが遅過ぎた
ここでは、おおまかに過去の自分の行動を悔やむ姿が描かれています。
「冷たい予感」は、誤解や一時の感情で恋人を突き放してしまった自分の後悔を象徴しているのでしょう。
「戻れないから」という言葉には、今さら修復するのは不可能だという諦めと、そう言い聞かせる強がりの両方が含まれているようにもとれます。
2-3.後悔に苛まれる「夜」
想像以上の夜になる
あなたがいないだけでさ
もう一度想えるなら
またあなたの隣がいいなんて言えない
ナハト今だけは静かにしないでよ
強がりが聞こえないように
サビの部分では、恋人がいない夜を過ごす寂しさと、その孤独が予想以上に深刻であることが描かれています。
「もう一度想えるなら」という願望を持ちながらも、「あなたの隣がいい」とは言えない、つまり本音を言う勇気がない主人公の葛藤が読み取れます。
「ナハト(夜)」という言葉を直接的に使い、夜の静けさが主人公にとって苦しいものであることを表しています。
夜の静けさが自分の「強がり」をうるさく引き立たせ、感情をさらけ出してしまうのを恐れていると共に、葛藤そのものへの煩わしさが表れた一節になっています。
2-4.苦し紛れの偽りの言葉ばかりを重ねた別れ際
思ってもいないことばかり
二人の間に落ちていく
今までありがとう
最後に浮いてしまった言葉
ここでは、別れ際の二人の間に交わされた言葉が偽りや取り繕いで満ちていたことを暗示しています。
「今までありがとう」という一見感謝の言葉も、別れの際に表面上取り繕ったものだったのかもしれません。
この言葉が「浮いてしまった」という表現が、主人公の本音とのズレを物語っています。
2-5.「諦めたい」という本音
冴返る芯よ
間違いだったと言ってくれ
沈んで見えなくなってくれ
わかってる
遅過ぎたんだ
過去の決断が「間違いだった」と認めることへの葛藤と、同時にそれを覆すことはできない現実が描かれています。
「冴返る芯」は、後悔の果てに蘇る「好き」という気持ちのことでしょう。
「沈んで見えなくなってくれ」という言葉からは、自分の過ちや後悔、そして未だに相手を好きでいる自分の気持ちを直視したくないという気持ちが読み取れます。
「”できることなら”諦めたい」
「でもできないから沈んでくれ」
そう自分の感情に対して説くこの様子からは、自分ではどうにもできないことへのもどかしさが全面に出ていますね。
2-6.受け入れなければいけない結末
想像以上の夜になる
あなたがいないだけでさ
もう一度想えるなら
またあなたの隣がいいなんて言わない
ナハト少し静かにしてくれ
ラスサビでは、再び夜の孤独が強調される中で、主人公の葛藤が繰り返されながらも徐々に「諦め」へと向かっていく様子が描かれています。
「あなたの隣がいいなんて言わない」という言葉に、後悔と未練、そして自分を納得させようとする姿勢が伺えます。
「ナハト少し静かにしてくれ」という表現は、心の動揺を和らげたいという願望を表しているのでしょう。
もう始まることはないとわかってたんだ
ずっと前から
言えない
言わない
たった一文字
それだけのことで過去と
生きてしまったんだね
そして最後の一節では、主人公が心のどこかで別れの結末をすでに受け入れていたことが打ち明けられます。
諦めをつけられないがために蓋をしていた気づきととうとう向き合ったシーンとも取れますね。
「たった一文字」とは、簡単な言葉(例:「好き」や「ごめん」)を伝えられなかった後悔の象徴かもしれません。
それが原因で、過去に囚われたまま生きてしまった自分の弱さを自覚している様子が描かれています。
この曲全体を通じて、後悔や未練、そして時間が戻せないことへの葛藤が強く描かれています。
「ナハト(夜)」という題名も、孤独や心の暗闇を象徴し、主人公の感情に寄り添う象徴的な役割を果たしていると言えます。
私が「凄すぎる」と感心するのは冒頭に一回しか出てこない「春風」というたったひとつの単語の存在です。
1番最初に立てた「春風」という、恋の始まりや暖かな日々を象徴するフレーズ。
このフレーズが、その後のすべての歌詞(恋の終わりとその後の葛藤)と対照的に位置していることで、歌詞を重ねれば重ねるほどボディブローのようにジワジワとこの曲の切なさを引き立たせ、聴き手に効いていると思います。
皆さんはindigo la Endの『ナハト』どのように感じましたでしょうか?