[歌詞考察]緑黄色社会『illusion』─恋の魔法にかかってしまって─

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みなさんこんにちは!

2025/7/4に緑黄色社会の新曲『illusion』がリリースされました。

緑黄色社会の結成記念日である7月4日にリリースされたこの曲は、叶わないとわかっていながらも翻弄されてしまう魔法のような恋心を題材に扱った恋愛ソングになっています。

沢山の比喩を扱った表現で富んでいますので、今回は歌詞を一節ずつ区切りながら紐解いていきたいと思います。

ぜひ最後までご覧ください!

目次

1.緑黄色社会『illusion』歌詞

きみとすれ違うだけで
ぼくのアンラッキーな今日だって
見事報われる
illusion

限りなく無色透明の
そのスマイル見ていたら
煙にまかれた煩悩が
ハトになって飛んでく

アブラカタブラ ぼくの心臓は
次の瞬間 消え去る10円玉みたいに
きみの手のひらの上

可能性ないことないことないことない
って信じてはみたい
きみが振り返るはずないけど
嵌まっちゃったんだ
その魅力はナチュラルなものなのか
天才的な手品か
まるごと信じてもいいだろうか
illusion

“きみに会いたい”と
いま思い浮かべてたマークが一番上にくる
よくあるカードマジックの展開で
きみが現れる
illusion

アテンション(気をつけて)
ハイテンション(落ち着いて)
どうせ何もできない

心はマジカルシニカル
まじで手のかかる夢を見せる
きみが振り返るはずないけど
嵌まっちゃったんだ
イチかバチか賭けに出たくはなくて
ひき返すのも嫌だからやめれない
もうきみの虜 なんだ
illusion

ただのまぐれで一等賞はない
種も仕掛けも超能力もない
分かりながら嵌まってしまったんだ
I like you

可能性ないことないことないことない
って言じてやまない
きみが振り返るはずないけど
嵌まっちゃったんだ
その魅力はナチュラルなものなのか
天才的な手品か
まるごと信じればいいんじゃない?

いまさら何を迷う
きみが振り返るはずないけど
嵌まっちゃったんだ
イチかバチか賭けに出たくはなくて
ひき返すのも嫌だからやめれない
もうきみの虜なんだ
illusion

2.緑黄色社会『illusion』歌詞考察

2-1.すれ違うだけで報われる

きみとすれ違うだけで
ぼくのアンラッキーな今日だって
見事報われる
illusion

ほんの一瞬、すれ違うだけで不運な一日すら価値あるものに変わってしまう。

それほどに主人公にとっては「きみ」の存在は絶大なようです。

しかしこれは確かな関係性ではなく、あくまで“illusion(=幻想)”です。

叶わぬ恋の始まりであると同時に、本人はそれを分かっていながらも胸の高鳴りを感じています。

2-1.きみの笑顔で煩悩が吹っ飛ばされる

限りなく無色透明の
そのスマイル見ていたら
煙にまかれた煩悩が
ハトになって飛んでく

「無色透明のスマイル」からは、相手の無邪気さや純粋さを読み取ることができます。

それを見た瞬間、主人公の頭に煙のようにかかっていたはずの悩みは手品のハトのように飛んでいきます。

「きみ」の笑顔によって心をも支配されてしまう様子が、ユーモラスに表現されていますね。

2-3.心を掴まれるマジック

アブラカタブラ ぼくの心臓は
次の瞬間 消え去る10円玉みたいに
きみの手のひらの上

手品の呪文とともに、主人公の心臓(ハート)が一瞬で盗まれてしまいます。

消えた心臓は「きみの手のひらの上」へ瞬間移動しているというのは、もう相手に完全に心を奪われてしまったということを表しています。

2-4.信じたい可能性

可能性ないことないことないことない
って信じてはみたい
きみが振り返るはずないけど
嵌まっちゃったんだ
その魅力はナチュラルなものなのか
天才的な手品か
まるごと信じてもいいだろうか
illusion

現実には“可能性がない”と知りながらも、「ないことはない」と信じたい。

「きみ」の魅力は生まれつきのものなのか、それとも巧妙な「魔法」なのか?

考えても無意味だと知りながら、すべてを信じたくなる。

恋の魔法で「きみ」にハマってしまったが故の心の揺れ動きを抑えるために、良い返事をもらえる可能性を信じようとしています。

2-5.マジックみたいな偶然を願う

“きみに会いたい”と
いま思い浮かべてたマークが一番上にくる
よくあるカードマジックの展開で
きみが現れる
illusion

偶然を装った奇跡が起こるカードマジックのように「きみ」が目の前に現れてほしいという妄想をしています。

恋する人なら誰しもが抱いたことのある感情を、マジック、イリュージョンに絡めて表現しています。

2-6.どうせ何もできない

アテンション(気をつけて)
ハイテンション(落ち着いて)
どうせ何もできない

自分に「下手な真似はするな」と注意を促しても、相手を前にすると浮ついてしまって「どうせ何もできない」ということでしょう。

理性と感性がせめぎ合いますが、結局は感情に任せて動いてしまう。

浮ついた恋心を見事に表現していますね。

2-7.夢見させる皮肉な心

心はマジカルシニカル
まじで手のかかる夢を見せる
きみが振り返るはずないけど
嵌まっちゃったんだ
イチかバチか賭けに出たくはなくて
ひき返すのも嫌だからやめれない
もうきみの虜 なんだ
illusion

「心はマジカルシニカル」をそのまま日本語に直すと「心は幻術的で皮肉的」という意味。

恋は夢を見せながらも、相手を疑ってしまう、どこか冷めた心の揺れ動きを表しているのでしょう。

叶わないと分かってるけどやめられない、それが恋のマジックです。

勇気も出せず、忘れることもできず、虜になったまま前にも後ろにも進めない状態です。

2-8.分かってるけど好き

ただのまぐれで一等賞はない
種も仕掛けも超能力もない
分かりながら嵌まってしまったんだ
I like you

マジックのような奇跡は起きないと分かっていながら、それでも惹かれてしまう冷静な頭と止まらない心。

最後の「I like you」で、幻に終わるかもしれない想いが、この歌詞の中でははじめてストレートに告白されます。

思いとどまらずにはいられずに、ついに相手に向かって走り出した主人公の決意が読み取れます。

2-9.信じてみてもいいよね

可能性ないことないことないことない
って信じてやまない
きみが振り返るはずないけど
嵌まっちゃったんだ
その魅力はナチュラルなものなのか
天才的な手品か
まるごと信じればいいんじゃない?

前半の繰り返しに戻りながらも、「信じてやまない」という表現ひとつで、ついに主人公が勇気を出した様子が対照的に描かれています。

疑うより信じてしまったほうが幸せかもしれないと思ったのでしょう。

恋の魔法に落ちた自分を、そして相手を、疑いもせずまるごと肯定しようとする変化が見られます。

2-10.もう戻れない恋の底

いまさら何を迷う
きみが振り返るはずないけど
嵌まっちゃったんだ
イチかバチか賭けに出たくはなくて
ひき返すのも嫌だからやめれない
もうきみの虜なんだ
illusion

「いまさら何を迷う」というのは、諦めでも覚悟でもなく、すでに感情の底まで落ちきった人の覚悟のようなものでしょう。

相手を好きになって、最悪の可能性と最高の可能性どちらをも信じてきた狭間の中で悩み尽くし、とうとう走り出した主人公には、もう悩むことすら無駄に思えたのでしょう。

理性は「きみは振り返らない」と分かっていても、やめることはできない。

主人公は冷静な理性ではなく、浮き足だった感情のまま突っ走っていくことを選んだのです。

3.まとめ

緑黄色社会『illusion』は、どっぷり相手に浸かってしまった恋心の揺れ動きをマジックやイリュージョンに喩えて展開されていく曲でした。

時には冷静に悲観的に捉えながらも、ある時には感情に流され楽観的に、情熱的になるのが恋の醍醐味です。

どうせ無理だろうとわかっていても止められない。

中途半端に押してしまっているから、今更引くに引けない。

そんなリアルで不器用な恋心を、軽快なテンポとフレーズで包み、リスナーの背中を押してくれる一曲でした。

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