みなさんこんにちは!
2025/7/23にRADWIMPSの新曲『命題』がリリースされました!
この曲のMVは公開5日目にして既に30万回再生を記録しています。
タイトルの「命題」とは、「言語や式によって表した一つの判断の内容」のこと。
分かりやすく言えば、「正しいか、正しくないかを判断すべき議題のこと」と言ってみてもいいかもしれません。
とてつもなくヘビーな印象を受けるこの曲名ですが、一体何を「命題」とし、どのような結論を下すのでしょうか?
RADWIMPSの新曲『命題』の歌詞を一節ずつ区切って考察していきましょう。
ぜひ、最後までご覧ください!
1.RADWIMPS『命題』歌詞
僕たちは見えない明日を一日も休まず
受け入れながらヒビ割れながら
自らツギハギで直して
もしかして明日になれば
何か変わるかもなんて
なんて健気で なんて怠惰で
なんて幼気な生き物
時に愚かで稀に狂気に犯されるのも仕方がない
だけど僕らは「諦めない」を
この遺伝子に刻まれて
呼吸のたびに希望探し求めるよう形作られ
こんなちっぽけな自分だけども
誰かのための何かに、なれるよう
願ったんだ
はじめて産まれてきたの
右も左も知るわけないだろう
悲しみとこんなとこで
待ち合わせたつもりなどないけど
どれだけ道迷ったかより
どれだけ間違えなかったか
それが生きた証ならば
そんな世界に用などこちとらないから
この世に産まれ堕ちて
いくらか時が流れたが
世界は僕を見知らぬそぶり
呼び出しといてそりゃないだろう
てめえのインチキがバレりゃ
他所に五万といると
光の速さ 開き直りで
自己避難かわすスルーパス
人生上級者たちがまるで幅利かす時代
「白」か「黒」かの二元論が横行
ゆらめきさえ許さず
原告席に溢れ返る人、被告席はもぬけの殻
言葉に刃つき立てて
ぶん回すようなこの時代に
「平気な顔が上手い選手権」
強制参加の時代に
それでも君がいてくれるなら
明日も生きてみたいと、
そう心から 願ったんだ
諦め方、いなし方呆れ方と誰かのくさし方
それが時代の装備だって信じる君のその笑い方
いつか消えてしまうのは
憎しみも愛しさも同じだろう
その声の主に僕は今
どんな言葉をかけられるんだろう
悲しみの先にも
君の声は
トゥールル トゥットゥ
トゥールル トゥットゥ
聞こえてくるよ
トゥールル トゥットゥ
トゥールル トゥットゥ
聞こえてくるよ
誰もが幸せになれるわけではないこの世界
これを超える真実が
どうにも見当たらなくて目眩がする
世界に溢れるほとんどの夢なんか叶わない
それをなんで入学して一番最初の授業で教えない
はじめて産まれてきたの
右も左も知るわけないだろう
悲しみとこんなとこで
待ち合わせたつもりなどないけど
「君が無駄にした今日は誰かが
生きたがってた今日だ」と
言われたとこでビクともしない夜だって
ザラにあるけど
広い海に一滴の目薬ほどの違いだとしても
僕がここに生まれてきた意味の
一雫を探して彷徨うような日々
「君じゃないと」が聞きたいの
君と僕の(くすぐったいよ)希望ごっこ
2. RADWIMPS『命題』歌詞考察
2-1.自分で自分を壊し、直して
僕たちは見えない明日を一日も休まず
受け入れながらヒビ割れながら
自らツギハギで直して
明日という近い未来のこともわからない「僕たち」ですが、「きっと今日とさして変わらないだろう」という諦めにも似た許容をもって生き続けている節があるようです。
そうして自分が満足しない環境で働き、生きることで自信や目標というものを見失っては、自分に鞭を打って無理をしてきたのかもしれません。
そして、こうした生き方というのは割と現代ではありふれている気がするし、完全には重ならない生き方をしている人でも、共感したり理解したりすることができるのではないでしょうか?
2-2.健気で怠惰な明日への「期待」
もしかして明日になれば
何か変わるかもなんて
なんて健気で なんて怠惰で
なんて幼気な生き物
時に愚かで稀に狂気に犯されるのも仕方がない
なんら変わりない一辺倒な「明日」を変えたいとは思っていても、自分で変えようとはせず、運や神様の類に「何か変えてくれるかも」と期待をしてしまう。
そんな他力本願さは、時に人としての愚かさとなり、稀に狂気(ヤバめの宗教とか)にハマってしまう理由にもなってしまうのでしょう。
2-3.どんなに怠惰でも諦められない
だけど僕らは「諦めない」を
この遺伝子に刻まれて
呼吸のたびに希望探し求めるよう形作られ
こんなちっぽけな自分だけども
誰かのための何かに、なれるよう
願ったんだ
どんなに怠惰な生活を送っていたとしても、生きている限りは自分の選択に対する後悔や不満というものはつきものでしょう。
他力本願で生きるならば、自分に責任を感じる必要もないため後悔も不満も必要ないことになりますが、それらを捨て切ることは簡単なことではありません。
したがって「諦めない」という気持ちは、気合いとか理性の話ではなくて、もはや本能レベルであるのかもしれません。
そんな本能を抱えて生まれてしまった以上、誰かのためになれるよう望んでしまうことは必然なのです。
2-4.「生きる」とは「迷う」こと
はじめて産まれてきたの
右も左も知るわけないだろう
悲しみとこんなとこで
待ち合わせたつもりなどないけど
どれだけ道迷ったかより
どれだけ間違えなかったか
それが生きた証ならば
そんな世界に用などこちとらないから
人生は皆平等に一回だけですが、明確な「生き方マニュアル」のようなものはありません。
それなのに今の世間では間違えれば、まるで人生のルールから逸れた者のように後ろ指をさされて笑われることがあります。
では、「どれだけ間違えなかったか」が人生の良し悪しを決める唯一の基準なのでしょうか?
主人公はここで「どれだけ間違いを重ねて、いかに成功するかを迷うこと」こそが生きた証であるべきだと、そう語っています。
2-5.世界とのギャップ
この世に産まれ堕ちて
いくらか時が流れたが
世界は僕を見知らぬそぶり
呼び出しといてそりゃないだろう
世界の中で疎外感を感じる心情が伝わります。
「呼び出しといてそりゃないだろう」というフレーズでは、望んで生まれてきたわけでもないのに、この世に作り上げるだけ作り上げておいて、後は自己責任であることへの不満が爆発しています。
どうせ生まれなければならなかったのであれば、存在を受け入れてほしいという願いと、それが満たされない不満や寂しさを感じています。
2-6.代わりなどいくらでもいる生き方
てめえのインチキがバレりゃ
他所に五万といると
光の速さ 開き直りで
自己避難かわすスルーパス
自分の弱さや偽りが露呈したとき、人はあっという間に責任回避しようとするという世知辛い現実を皮肉的に描いています。
また同時に、社会に求められるものが限られているあまり、誰もが似たり寄ったりで個性が埋もれてしまう現代の生きづらさを暗示しています。
2-7.「善」か「悪」しかない社会の生きにくさ
人生上級者たちがまるで幅利かす時代
「白」か「黒」かの二元論が横行
ゆらめきさえ許さず
原告席に溢れ返る人、被告席はもぬけの殻
「善か悪か」「正しいか間違っているか」「白か黒か」。
社会がそんな単純な二極で語られることで、曖昧さや揺らぎが許されず、人間が持つ複雑な心と相反して、自由に生きにくい時代であることを批判しています。
「原告席に溢れ返る人」という描写は、自分をせめることなく、まず他者を責めることに終始している現代の世相を痛烈に風刺しています。
2-8.平気な顔と本音
言葉に刃つき立てて
ぶん回すようなこの時代に
「平気な顔が上手い選手権」
強制参加の時代に
それでも君がいてくれるなら
明日も生きてみたいと、
そう心から 願ったんだ
誰もが他人の間違いに目くじらを立てて批判しようとするこの世の中を「平気な顔が上手い選手権」というこの上ないユーモアと皮肉で表現しています。
ただ、そんな殺伐とした世の中でも生きようとする原動力は、愛する人や友人である「君」がいてくれたからであることは間違いないでしょう。
2-9. 現代社会への諦めと武装
諦め方、いなし方呆れ方と誰かのくさし方
それが時代の装備だって信じる君のその笑い方
投げやりな態度や他人を見下すことが「生き抜く装備」とされる現代。
それを皮肉りつつ、そんな時代の空気に染まってしまった「君」に眼差しを向けます。
この眼差しは変わってしまった「君」に対する共感であり、切なさを表すものだと言えるでしょう。
2-10. 誰もが幸せになれない厳しい現実
誰もが幸せになれるわけではないこの世界
これを超える真実が
どうにも見当たらなくて目眩がする
世界に溢れるほとんどの夢なんか叶わない
それをなんで入学して一番最初の授業で教えない
厳しい現実を突きつけるフレーズですよね。
現代では「頑張れば報われる」とか「夢は叶う」など、ポジティヴな論調で教育することがよしとされていますが、現実はそうはいきません。
その現実に初めて気がついた時に、「誰もが幸せになれない」「夢は大抵叶わない」という絶望的な事実を、社会はなぜ正面から教えないのかと責め立てます。
教えられてきたはずの理想と実際に見た現実の落差に対する戸惑いと怒りが現れています。
2-11. 理屈では納得できない大切さ
「君が無駄にした今日は誰かが
生きたがってた今日だ」と
言われたとこでビクともしない夜だって
ザラにあるけど
「自分が無駄にした今日は、昨日亡くなった誰かが生きたかった1日です。」
こんな名言を聞いて心をガーンと打たれた日があったかもしれません。
しかし、「死」を経験していない以上、そんな名言を思い起こしてもピンとこない夜もあるという共感と共に湧き上がるリアルな感覚が正直に描かれています。
「経験」なくして、「理屈」のみで納得できないことも人生には多いという本音です。
2-12. 広い世界の中でほんの小さな生きる意味
広い海に一滴の目薬ほどの違いだとしても
僕がここに生まれてきた意味の
一雫を探して彷徨うような日々
「君じゃないと」が聞きたいの
君と僕の(くすぐったいよ)希望ごっこ
自分の存在が世界に与える影響は微々たるものかもしれませんが、それでも生きる意味や自分の役割を求めて日々さまよい続けています。
「君」から求められるような人間になりたいという細やかながら大きな希望を胸に、たとえ鬱屈であろうとも明日を生き抜こうとする姿勢をもって、この歌は締め括られます。
3.まとめ
RADWIMPSの新曲『命題』の歌詞考察を紹介してきました。
歌詞の意味が非常に奥深く、重厚感があるため考察にも一苦労でした…笑
社会に当たり前のように染みついた「消極的な自己犠牲」や「怠惰な期待」、「夢が叶うという論調とは裏腹の残酷な現実」の実態を”命題”としてひとつずつ建てては、それをサンドバッグのように思いっきりぶん殴るような歌詞が印象的でした。
そんな鬱屈としたネガティヴな命題たちを前にして出した1つの結論は「それでも、大切な人に自分を必要として欲しいから生きてゆく」という、至ってシンプルな答えでした。
最終的には、自分が挙げてきた残酷な現実とは脈絡のないシンプルな希望に行き着くところが、逆に本心で求めていることを切に伝えているというか…そんな感じがしますよね。
野田洋次郎さんの独特なユーモアを交えた皮肉や言葉遊びが気持ちのいい、RADWIMPS全開の一曲に仕上がっていたと感じます!