ヨルシカ『負け犬にアンコールはいらない』歌詞考察─大人になりたくなくて─

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みなさんこんにちは!

今回は今回はヨルシカの『負け犬にアンコールはいらない』の歌詞を考察していきたいと思います!

タイトルにもあるように、自分が負け犬であることを不貞腐れ気味に認める主人公が、斜に構えた態度で世の中をバサバサと斬っていく痛快さが癖になる歌詞に注目です!

ぜひ最後までご覧ください!

目次

1.『負け犬にアンコールはいらない』歌詞

大人になりたくないのに何だか
どんどん擦れてしまってって
青春なんて余るほどないけど
もったいないから持っていたいのです

「死ぬほどあなたを愛してます」
とかそう言う奴ほど死ねませんあ

会いたい 好きです 握りません
とか誰でも良いのに言っちゃってんのがさ、
わかんないね

もう一回、もう一歩だって
歩いたら負けだ
つまらないって口癖が、
僕の言い訳みたいじゃないか

もう一回、もうこんな人生なんかは捨てたい
夏のバス停で君を待っていたいんだ

負け犬だからさ 想い出しかないんだ

逃げるは恥だが役に立つとかいうけど
正直立てません
大人になりたくないのにいつから
笑顔が上手になったんだ

人生なんて余るほどないし
友達なんかはいりません
最低限の荷物を固めて
あなたに会いに行こうと思いました

堪んないね

5!4!3!2!HOWL!

もう一回、もう一個だって落としても死ねない
負け続けても笑った君が白痴みたいじゃないか

もう一生、後悔したくない僕らは吠えたい
負け犬が吠えるように生きていたいんだ
君のそんな顔なんか見たくもないんだ

人生に名前をつけるなら
希望って言葉は違うだろ
もう何年待っているんだろう、わからないか

君以外はどうでもいいんだよ
それだけはわかっていたんだろ

もう一回、もう一歩だって歩いても言えない
所詮音楽が響くか 何もかもが言い足るものか

もう一回、僕たちにもうアンコールなどいらない
吠え面かけよ偽善者

もう一回、もう一歩だって歩いたら負けだ
世界平和でも歌うか 
早く全部を救えよ愛とかやらで

もういい、もうこんな人生全部を賭けたい
負け犬なりに後悔ばっか歌って
また夢に負けて、昨日を愛おしんで

2. 『負け犬にアンコールはいらない』歌詞考察

2-1.大人になりたくない自分となっていく自分

大人になりたくないのに何だか
どんどん擦れてしまってって
青春なんて余るほどないけど
もったいないから
持っていたいのです
のです

この節では、「大人になりたくない」という純粋な願望と、現実にすり減っていく自分とのギャップが表現されています。

「青春」が「余るほどない」と認識しつつも、「もったいないから持っていたい」という気持ちは、限られた時間の中で何かを守ろうとする若者の身動きを取れなくなるほどの不安さを表しています。

2-2.愛を軽んじる現代への皮肉

「死ぬほどあなたを愛してます」
とかそう言う奴ほど死ねません
会いたい好きです
堪りませんとか誰でも良いのに
言っちゃってんのがさ、
わかんないね

ここでは、恋愛に対する冷めた視線が表れています。

「死ぬほど」という極端な言葉が、むしろ軽々しく感じられる矛盾と、「誰でも良いのに」という発言には、他人が愛を語る際に芽生える空虚さが垣間見えます。

本当の想いよりも、言葉だけが先行してしまう現代の人間関係や恋愛の表層性を皮肉っているようですね。

最後の「わかんないね」という一言には、諦めにも似た無力さと、どこか突き放したような感覚が滲んでいる気がします…。

2-3.大人になりきれず青春に縋り付く

もう一回、もう一歩だって
歩いたら負けだ
つまらないって口癖が、
僕の言い訳みたいじゃないか
もう一回、もうこんな人生なんかは捨てたい
夏のバス停で君を待っていたいんだ
負け犬だからさ想い出しかないんだ

ここでは、「一歩進むこと=負け」と感じるほど、現状に疲弊している心情が描かれています。

「つまらない」という口癖が、実は自分自身の努力不足や諦めの言い訳でしかないと自覚しているのが痛ましく、聴き手も耳が痛くなる程です。

それでも「夏のバス停で君を待っていたい」という願望に、ほんの少しの希望や、過去の純粋な気持ちを取り戻したい想いがにじみます。

「負け犬」という言葉に自己否定が込められていますが、それでも想い出だけは自分のものとして大切にしている姿が切ないですね。

2-4.逃げても逃げても結局大人になる

逃げるは恥だが役に立つとか
いうけど正直立てません
大人になりたくないのにいつから
笑顔が上手になったんだ

ここでは、「逃げること」を肯定する言葉への反発が描かれています。

「立てません」という率直な否定が、自分が逃げてきた末に回ってくるツケに押し潰されてしまうことをストレートに伝えています。

そして、「笑顔が上手になった」という一文からは、大人になる過程で自然と身についてしまった「嘘の自分」や「取り繕い」が浮き彫りになります。

大人になることへの抵抗と、すでに無意識に適応してしまっている矛盾が胸に刺さります。

2-5.「大人」をやめる決意と衝動

人生なんて余るほどないし
友達なんかはいりません
最低限の荷物を固めて
あなたに会いに行こうと思いました
堪んないね
Five! Four! Three! Two! Howl!

この節では、人生の短さを自覚したうえで、無駄なものをすべて削ぎ落とし、ただ「あなたに会いに行く」という純粋な行動に賭ける決意が描かれています。

「友達なんかはいりません」と言い切ることで、人間関係への疲弊や、真に大切なもの以外は不要だという覚悟が表れています。

「堪んないね」というひと言とカウントダウンが、感情の爆発と、衝動的な行動の直前の高揚感を表現しています。

2-6.何度絶望しても終わってくれない人生

もう一回、もう一個だって
落としても死ねない
負け続けても笑った君が
白痴みたいじゃないか
もう一生、後悔したくない
僕らは吠えたい
負け犬が吠えるように生きていたいんだ
君のそんな顔なんか見たくもないんだ

この節では、何度失敗しても終わらない人生への苛立ちが描かれています。

「負け続けても笑った君」に対して、「白痴みたい」とまで言ってしまうのは、強い苛立ちと羨望が入り混じった感情の表れでしょう。

本心では、「後悔したくない」「吠えたい」という強い生への意志があり、それを「負け犬が吠える」姿になぞらえることで、不器用でも必死に生きようとする覚悟を感じさせます。

「君のそんな顔なんか見たくもない」という一言には、好きだった誰かとのすれ違いや、自分自身の未熟さへの怒りもにじんでいます。

2-7.希望と「君」を待ち続ける人生

人生に名前をつけるなら
希望って言葉は違うだろ
もう何年待っているんだろう、
わからないか
君以外はどうでもいいんだよ
それだけはわかっていたんだろ

この節では、人生を「希望」と呼ぶことへの違和感が語られています。「もう何年待っているんだろう」というフレーズからは、報われない想いを抱え続けた長い時間がにじみます。そして、「君以外はどうでもいいんだよ」という直球の言葉に、純粋で激しい愛情が溢れています。「それだけはわかっていたんだろ」と、どこか責めるような、あるいは諦めるような響きもあり、叶わなかった想いに対する哀しみが伝わってきます。

2-8.歌詞では書き切れない絶望

もう一回、もう一歩だって
歩いても言えない
所詮音楽が響くか
何もかもが言い足るものか
もう一回、
僕たちにもうアンコールなどいらない
吠え面かけよ偽善者

この節では、言葉にできない想いのもどかしさと、音楽でさえもすべてを伝えきれない無力感が表れています。

「もう一歩歩いても言えない」という表現には、前に進むこと自体が怖い、あるいは虚しいという気持ちが込められています。

「アンコールなどいらない」という強い拒絶には、もはや周囲からの期待や賞賛すら必要ないという、自己完結した覚悟や、絶望に絶望を重ねることに嫌気がさしたような感情が読み取れます。

「偽善者」と罵るような言葉には、大人が嫌いと言いながらも笑顔が上手になっていく自分自身や、綺麗事で軽々しく愛を語る周りへの怒りが込められていますね。

2-9.全てを投げやりにして自分をぶつける

もう一回、もう一歩だって
歩いたら負けだ
世界平和でも歌うか
早く全部を救えよ愛とやらで
もういい、
もうこんな人生全部を賭けたい
負け犬なりに後悔ばっか歌って
また夢に負けて、昨日を愛おしんで

この最後の節では、現実への強い諦めと、それでも生きる覚悟がぶつかり合っています。

「世界平和でも歌うか」という皮肉には、理想論だけでは何も救えない現実への冷めた視線があります。

「愛とやらで早く全部を救えよ」という叫びも、もはや本気で信じられない自分を嘲っているようです。

しかし最終的には、「人生全部を賭けたい」という意志に至ることで、次の一手に全身全霊を込め、失敗するならするで終わってしまいたいという、諦めのようでありながら挑戦的な覚悟が読み取れます。

「また夢に負けて、昨日を愛おしんで」という最後のフレーズは、完璧にはなれないけれど、不器用にでも日々を生きるしかないという、後ろ向きながらも、そんな生への肯定に繋がっているように感じます。

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