みなさんこんにちは!
10/5よりアニメ『チ。 -地球の運動について-』の放送が始まりました。
原作の連載開始から4年、連載に幕を下ろしてから2年半の時を経て、私としては待望のアニメ化であります!
さて、当記事ではまだ原作もアニメも触れていない方、原作は読んだけどアニメはまだ観ていない方に向けて本作品の魅力を語っていきたいと思います。
1 . 作品を通してのメッセージ性
現代の「型に収まり燻り続ける人々の野心を呼び起こす」という意味合いで、私はこの作品に強い価値を感じます。
というのも、物語を通して
「逆流の中でも自らの信念を貫き通す姿勢」
「常識に身を任せず自らの頭で考え、挑むこと」
これらが強調して描かれており、子どもから老人に渡る幅広い世代の登場人物に、己の殻をひとつひとつ破られていくような強い衝撃を覚えるんです。
「今現在、周りの目と本心の狭間で燻っている方」
「どこかで忘れてしまった過去の野心を呼び覚ましたい方」
こんな方々に向けた劇薬として、私は当作品を味わって欲しいと思っています。
2 . 作品の概要
原作は受賞経験も多数あり、アニメ化を手がけるマッドハウスに関しても数々の作品を手掛けてきました。
放送: NHK総合テレビにて毎週土曜 23:45より
配信: 各話地上波放送終了後
Netflixでの世界配信
ABEMAでの無料配信開始
原作: 魚豊「チ。 ―地球の運動について―」
(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊)
制作会社: マッドハウス
(『葬送のフリーレン』 『DEATH NOTE』『HUNTER × HUNTER』ほか)
OPテーマ: サカナクション『怪獣』
EDテーマ: ヨルシカ『アポリア』
原作受賞歴:
「マンガ大賞 2021」第2位
「このマンガがすごい!2022」オトコ編第2位
「第26回手塚治虫文化賞」マンガ大賞
…ほか、総計11度の受賞/ノミネート
3 . 「チ。 ー地球の運動についてー」のあらすじ
15世紀のヨーロッパ某国。
飛び級で大学への進学を認められた神童・ラファウ。
彼は周囲の期待に応え、当時最も重要とされていた
神学を専攻すると宣言。が、以前から熱心に打ち込んでいる天文への情熱は捨てられずにいた。
ある日、彼はフベルトという謎めいた学者と出会う。
彼の研究が異端思想に基づく禁忌に触れたため拷問を受け、投獄されていたというフベルト。
彼が研究していたのは、TVアニメ「チ。 ―地球の運動について―」公式より
宇宙に関する衝撃的な「ある仮説」だった――。
そして、その禁忌の研究とは今や全人類が当然のように認識・理解している「地動説」である。
神の教えを基に絶対的な権力を誇る当時の教会。
“神は人間の住むこの地球を「穢れた大地」として宇宙の中で1番窪んだ底辺・中心に置き、それを見下す形で天界に属する星々が空を周回するように創造した。”
これが教会を中心とした世界で完全に信じられていた「天動説」であり、それ以外は「異端思想」として懲罰の対象であった。
コレに対して、真実を追求する天文学者あるいは星に魅了された人々が、真の信仰と信念を胸に世代を超えて、真理・「地動説」に向けて歩みを進めていく。
4 . 「チ。 ー地球の運動についてー」が他作品と大きく異なる点
本作には他の漫画とは一線を画した独特な空気感が終始漂っています。
まずその理由として大きな一つが
「主人公が順を追って変わること」です。
禁忌とされる「地動説」に真理を見出し、魅了された人々が各々の時代を担って研究を進め、それを次の世代に託していく。
勿論、託された主人公もそれぞれ境遇が違い、地動説に対する想いやそれに賭ける目的も全く異なるのです。
「それぞれの主人公にそれぞれの主人公としての役割・信念の貫き方がある」と言いましょうか。
各主人公たちに違う角度から没入できるのも魅力です。
というか、もはや「地動説」を主人公としたそれを取り巻く人々の人間ドラマと言っても過言ではないでしょう。
やり方は違えど、それぞれが命を賭してまで貫き通した信念が次の世代、また次の世代へと紡がれ、やがて形を成していく様子に強い興奮を覚えるはずです。
そして次に、物語が「史実に重ねたフィクション」として展開されることです。
あくまで史実とは異なる誇張された描写も多く含まれるため、このような言い方をしましたが「天動説→地動説」の流れは実際の歴史にありましたからね。
異世界や世紀末とは異なる、絶妙なリアリティを帯びた時には神秘的、時には手に汗握る展開が繰り広げられます。
実は物語中でも拷問のシーンがあるのですが、これがとにかくリアルでグロテスク。
「バレたら主人公もこうなるよ」っていうイヤ〜な見せしめが、作品中に散りばめられています。
格闘やアクションがメインならまだしも、「知性での勝負で血が流れうる状況」というのは、あまり見ない展開ですよね。
そして、そのグロテスクな拷問が、良くも悪くも視聴者側にも「禁忌に触れる恐怖」を増大させながらも、真理の美しさまたはそれに迫る感動を膨れ上がらせていくのです。
世代を超えた知的探究家たちの闘い。
それぞれの信念を命を賭けてまで貫こうとするその姿は「地球」のみならず、我々の「感」性までを「動」かしてくれるはずです。
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