サカナクション-山口一郎氏からうつ病の実態を知る。

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サカナクションのボーカルを務める山口一郎氏は、2024年の1月に行ったソロライブツアーにて、自身がうつ病である事を公表した。

うつ病とは一般的にまだ詳しく認知されてないイメージがある為、本サイトは今回この記事を執筆するに至る。

今回の記事では、Yahoo!ニュースのインタビューに応じた山口一郎氏のインタビューを引用しながら、うつ病の実態を解説していきます。

目次

山口一郎氏がうつ病になった経緯と感じていた不安

山口氏が自身の不調に気付いたのは2年前、ちょうどコロナ禍の時期で、朝から晩までベッドから出る事ができず、ライブも中止になり、不安と焦りでいっぱいだったと語っている。

「最初は3カ月ぐらいですぐによくなると勝手に考えていた。でも3カ月が6カ月と延びて、1年を過ぎたあたりで、『これは一生付き合っていくのかもしれない』と思いました」

Yahoo!ニュースインタビューより

2022年5月、サカナクションの15周年配信ライブを終えた頃に不調に気付いたようです。

「コロナ禍以降もアクセル全開でがんばっていて、その頃の僕はラジオのレギュラーを3本、テレビのレギュラーを2本持って、レコーディングもライブもやっていたんですが、15周年のライブが終わった後、どっと疲れてしまった。すごく体がだるかったけれど、その時はまだ『更年期障害かな?』という程度にしか思っていなかった」

Yahoo!ニュースインタビューより

「僕の所属事務所にはカウンセラーの方がいたので話してみたら『ちゃんと診察を受けたほうがいい』と言われ、メンタルクリニックに行きました」

「抵抗感がありましたが、いざ行ってみると『普通の病院のように、身体的な症状を説明してほしい』と。それでバーッと話したら、『それ、しっかりとしたうつ病ですよ』と言われて『え、僕が!?』と驚いてしまって」

Yahoo!ニュースインタビューより

インタビューにて、山口氏はうつ病の診断が出た際に処方された薬を、最初は飲んでいなかったという。

薬の働きで無自覚に変なものを作ってしまったり、何もできなくなったらどうしようという不安があったそうで、内緒で飲まなかったそう。

その結果症状が一気に酷くなってしまい、薬を飲むようになったと語っています。

ここで一つ重要なのが…

うつ病の薬は、個人によって合う合わないがある。

合わない薬を飲んでしまうと一気に感情が落ち込んだり、逆にテンションが上がり過ぎてしまったりする。

自分に合う薬を見つけるまでが大変で、尚且つ病院も自分に合う合わないがあるので、かなり難しいところですよね…

正直言って医療はボランティアではなくて商売なので、全ての病院のお医者さんが心に寄り添ってくれるとは限りません。

もちろん人によってうつ病の症状は違いますし、症状の程度も人によって違います。

風邪とかインフルエンザのように、大抵の人間に当てはまる症状があって治療法も確立している病気とは、全く常識が違うのです。

さらに、世間の認識を恐れるような一面もあったようです。

「それまで僕はうつ病の人に『心が弱くて苦しんでいる人』というイメージを抱いていたので、自分がそんなふうに思われたら、もうミュージシャンとして終わってしまうんじゃないかとか、自分の音楽の聴かれ方が変わっちゃうんじゃないかといった不安が頭をよぎりました」

Yahoo!ニュースインタビューより

確かにうつ病と聞くと「心が弱くて苦しんでいる人」というイメージを抱いてしまいますよね。

一度うつ病になってしまったら、可哀想という哀れみの目で見られ続けることになる人もいます。

その時点で、もう一般の人ではない「ハンデを抱えた人」という認識に自分がなってしまうのが嫌で、うつ病を受け入れる事ができない人もいるようです。

特にミュージシャンという職業になってくると、この人はうつ病で可哀想な人というラベルが付けられて、これまでに出してきた曲への見方が変わってしまったり、これから出す曲の聴かれ方が変わってしまうのが不安だったようですね。

昨今は新しい音楽が増えてきて、色んな曲やアーティストが台頭してきました。

流行りの移り変わりも激しく、一つの曲がバズったからといって人気者になるかと思えば、以降姿を見ない人も居ますよね。

この「バズる」という今の文化が、発信する立場の人間を苦しめているのかもしれません。
自身の想いを歌に乗せるのが歌うたいだったはずが、いつからか競走という市場争いになってきています。

うつ病を発症してしまったことで何もする事ができなくなってしまった山口一郎氏は、サカナクションが世間から消えていき、自身の復帰という可能性をメンバーを含めたみんなが諦めてしまうのではないかと不安だったようです。

それに、うつで苦しんでいると公表する事が自身のキャリアを断つきっかけになるかもと考えると、そう簡単に行動には移せないですよね。

山口一郎氏から学ぶうつ病の症状

では、うつ病だった山口一郎氏はどのような症状に悩まされたのでしょうか?

彼の経験談をもとに、うつ病の実際の症状を見ていきましょう。

「『倦怠感』って言葉、よくないですよ。『なまける』なんてもんじゃないから。体験していない人が想像するより、200倍くらいつらいと思う。僕の場合は『ドラゴンボール』に出てくる『精神と時の部屋』じゃないけど、ひどい時は本当に重力が何倍にも感じる。躁の時間が長い人や、端から見たら元気で、サボってるように見える人もいる。人によって症状が違うので、まずはカウンセリングや治療を受けることが大事だと思います」

Yahoo!ニュースインタビューより

重力が何倍にも感じられて、一日中ベッドから出る事ができなかったり、こんな想いが続くなら死んでしまいたいと思う人の気持ちが理解できたとも回答していました。

それまで好きだった事に興味がなくなったり、このまま遠くに消えてしまいたいと思ったりもするそうです。

人によっては食欲がなくなってしまう人もいれば、食欲に倦怠感が優ってしまい、空腹だけど動く気力がなくて何も食べる事ができない人も居ます。

逆に、暴飲暴食に走ってしまう人もいるので、本当に人それぞれと言えますね。

また、過度な睡眠をとってしまう人や全く眠れない人も存在しますし、不安感を軽減させるためにリストカットなど、攻撃的な行動を起こしてしまう人も居ます。

うつ病の人にはどう接したら良いのか

では、うつ病ではない人がうつ病の人に対してどう接していくのが正解なのでしょうか?

これは正直なところを言ってしまうと「人によりすぎて決まった答えはない」が結論な気がします。

ですが、どんなタイプの人にも共通して出来ることはあるので、まずはそちらから解説していきます。

・焦らず、無理をさせないでまずは休ませる
・相手を否定しないこと
・激励や批判になる言動は避けること
・対象者が孤独にならないように配慮してあげること
・対象者の負担を減らしてあげる
(家族であれば家事や育児など)

この辺りが、うつ病を患っている方に対して周りができる事の共通要素になってきます。

「(極楽とんぼの)加藤浩次さんは、僕の体調が一番悪かった時、『おう、思ったより元気そうじゃん? 全然大丈夫じゃん』と言って、いつもと同じように接してくれました。あの言葉には救われましたね。後から聞いたら、本当は『もう駄目だこいつ。休んだほうがいいわ』と思っていたらしい(笑)。でも、あそこで『お前、駄目だわ』と言われていたら、たぶん、僕は本当に駄目になっていたと思う」

Yahoo!ニュースインタビューより

これは私自身も共感できたのですが、うつ病の方を特別扱いせずに、なるべく普段通りに接してあげることが救われたりもするんですよね。

「この人うつなんだ…可哀想…」という哀れみの目を向けるのではなく、変わらず接してあげる事が「平気な時の自分」を見てもらえている気がするというか。

そして、うつ病の人に何よりもやってはいけないのが「頑張れ」という言葉をかける事です。

人間誰しもうつ病になる可能性を秘めていて、うつ病を発症した人は「頑張り過ぎた結果」うつ病になっている事が多いです。

そんな人に頑張れという言葉をかけるのは、むしろ追い詰めている事になってしまいます。

とにかく発症してしまった事を悲観せずに受け入れ、孤独にならないように適度な距離感で接し続けてあげることが大切なんですね。

山口一郎氏が苦悩の末に作り出した新曲

山口一郎氏の症状は現在回復傾向にあり、音楽を通して発信を続けていくことだけは約束する。という言葉の通り、2月20日に新曲「怪獣」を発表しました。

ボーカルの山口一郎がうつ病を患い、病と向き合いながら制作した3年ぶりの新曲であること、そしてサカナクションにとって初のアニメ(NHK『チ。-地球の運動について-』)とのタイアップソングであるという2点も、この曲が注目された理由でしょう。

同日付のオリコンデイリーストリーミングランキングでは1位を獲得し、Spotify Japanでも、リリース日の再生回数が国内歴代1位となる大反響を呼びました。

体調が万全ではない山口氏が楽曲を手がける事に対して、反対するメンバーもいたようですが、それでも反対を押し切って制作した事で、今回の快進撃が繰り広げられたと思うと感慨深いですね。

アニメの作風に合った楽曲で、いつもながらに聴いていて引き込まれる曲となっていますので、まだ聴いたことのない方はぜひ聴いてみてください。


参考記事


Yahoo!ニュース
「病気を公開しながら、音楽を作っていく」――サカナクション・山口一郎、うつ病との闘い #病とともに

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