今回は、Tele 『硝子の線』の歌詞考察をしていきます。
『硝子の線』は、現在配信中のアニメ『タコピーの原罪』のEDテーマとして書き下ろしされ、6月25日に配信された曲です。
今回の考察は『タコピーの原罪』を原作コミックスを完読した私が、自分なりに考察していきますので『タコピーの原罪』のネタバレを含みます。
アニメで視聴している方は、現時点ではネタバレになってしまいますので、最終回が公開されてからまた見てくれると嬉しいです。
では、いきましょう。
『タコピーの原罪』とは?
2016年、地球にハッピーを広めるため来訪したハッピー星人「タコピー」は、空腹で動けなくなっていたところを小学4年生の久世しずか「しずかちゃん」に救われる。
そのお礼をするために、不思議な力を持つハッピー道具を使いますが、しずかちゃんはなかなか笑顔を見せません。
なぜなら、しずかちゃんは学校でのいじめや複雑な家庭環境に苦しんでいるからです、そんなしずかちゃんをタコピーが助ける物語。
Tele 『硝子の線』 歌詞
作詞作曲 谷口喜多朗
ほらね、もとどおりだよ。
相変わらず君がなぞる、
相変わらず君がなぞる、
がらすの線。
ほらね、元通りだよ。
ばらばらも、いつの日か。
初めまして、僕が台無しにした光。
欠けた肌で君を歪める、プリズム。
誰も気づかない、
何も聴こえない、
いっそ、溶かしてしまえば楽なのに。
まだ、
何度も、何度も繰り返す。
何度も、破片を繋いでいく。
何度も、何度も繰り返す。
感度も、彩度も鈍らせて。
ほらね、元通りだよ。
相変わらず君がなぞる、
硝子の線。
ほらね、元通りだよ。
ばらばらも、いつの日か。
わかんないよ、ごめんね。
魔法は今どこにいるの。
かくれんぼの続きはほら、
どうかまた明日。
誰もいない台所、うざい夕陽と排水溝。
100円のクリームパンじゃ、
愛が何か暗記できない。
君の頬の線をなぞる。
僕が魔法になるから、理由になるから。
話をしようよ、
とびっきり馬鹿げた事。
それは何よりも透明な光。
破片をその手に。
Tele 『硝子の線』 歌詞考察
ほらね、もとどおりだよ。
相変わらず君がなぞる、
相変わらず君がなぞる、
がらすの線。
ほらね、元通りだよ。
ばらばらも、いつの日か。
「ほらね、もとどおりだよ。」これは「タコピー」の言葉でしょう。
アニメの1話や2話で、唯一の心の支えであった愛犬の「チャッピー」が、いじっめっ子の「まりなちゃん」のせいで保健所に連れられてしまい、全てを失ってしまった「しずかちゃん」は自殺をしてしまいます。
そんな現実を変えるために「ハッピーカメラ」を使って、しずかちゃんが生きていた写真の瞬間に戻り、しずかちゃんが生き返ったことに対して、「タコピー」が思ったことなのかなと予想できますね。
「相変わらず君がなぞる、がらすの線。」
「タコピー」は「チャッピー」が保健所に連れられないように「しずかちゃん」を助けようとしますが、何度も何度も失敗してしまいます。
そして、タコピーは何度も辛い思いをするしずかちゃんを見て、繊細で脆い存在である「がらすの線」のように思ったのではないでしょうか?
「ばらばらも、いつの日か。」
何度も何度もチャッピーを助けられずに、しずかちゃんとチャッピーが合えなくなってしまう現実ばかりだけど、いつかは必ず会えるようにして幸せにしてみせるという意志を持った「タコピー」が考えられます。
初めまして、僕が台無しにした光。
欠けた肌で君を歪める、プリズム。
「初めまして、僕が台無しにした光。」
「タコピー」が渡した「仲直りリボン」のせいで首を吊って死んでしまった「しずかちゃん」
本来の世界線では、自殺をしようとしますがロープが切れてしずかちゃんが死ぬことはなかったのです。
この部分では、自分が余計なことをしてしまったせいで死んでしまったという罪の意識を感じているのではないのでしょうか?
誰も気づかない、
何も聴こえない、
いっそ、溶かしてしまえば楽なのに。
ここでは「しずかちゃん」の視点。
いじめられて想像できないほど辛いのに、誰も自分のことを誰も助けてくれないし、誰も気づいてくれない。
そして「チャッピー」を失ったことで、全てが真っ暗になり、いっそ死んでしまった方が楽だと考えてしまっている様子が想像できます。
まだ、
何度も、何度も繰り返す。
何度も、破片を繋いでいく。
何度も、何度も繰り返す。
感度も、彩度も鈍らせて。
何度も何度も、同じことを繰り返す「タコピー」いつかは繋がる、元通りになると信じて。
ほらね、元通りだよ。
相変わらず君がなぞる、
硝子の線。
ほらね、元通りだよ。
ばらばらも、いつの日か。
2番のサビでは「元通り」や「硝子」が漢字になっています。
何も知らなかった「タコピー」が少しずつ、人のことを理解していく様子が伝わります。
わかんないよ、ごめんね。
魔法は今どこにいるの。
かくれんぼの続きはほら、
どうかまた明日。
「わかんないよ、ごめんね。」
原作15話にて「タコピー」がついに「しずかちゃん」に「おはなし」をすることができた場面が想像できます。
「しずかちゃんの気持ちも、何も分かろうとしなくてごめんねと」タコピーの言葉が思い浮かびますね。
「魔法は今どこにいるの。」
ここは、しずかちゃんが自分を助けてくれる魔法なんてあるのか?と考えているのか分かります。
誰もいない台所、うざい夕陽と排水溝。
100円のクリームパンじゃ、
愛が何か暗記できない。
君の頬の線をなぞる。
僕が魔法になるから、理由になるから。
「100円のクリームパンじゃ、愛が何か暗記できない。」
ここでは、ドラえもんの暗記パンを連想させる言葉が出てますが「しずかちゃん」から貰ったパンを食べただけじゃ「タコピー」が人の心にある愛を知る事はできないことが分かります。
「君の頬の線をなぞる。僕が魔法になるから、理由になるから。」
そして、全てを話しあった二人、全てを失って涙を流す「しずかちゃん」
そんな涙を拭わせるために「タコピー」はもう一度全てをやり直そうとします。
しかしタコピーは、自分の命を捧げて「ハッピーカメラ」を直し、この世から消えてしまいます。
未来の「きみたち」に魔法をかけるために……
話をしようよ、
とびっきり馬鹿げた事。
それは何よりも透明な光。
破片をその手に。
最終話の16話で「タコピー」がいなくなった、「元通り」の世界線で「まりなちゃん」がいつも通り「しずかちゃん」を傷つけていました。
ですが、ノートに描かれたタコピーを二人は思い出し、とびっきり馬鹿げた話「タコピーの話」をします。
二人が話せるようになったきっかけを作った「タコピー」
「おはなし」がハッピーをうむ事ができると知る事ができた二人。
「硝子の線」は、ガラスにヒビが入っている状態です。
そのため、全てを繋げる(元通りにする)ために、何度も何度も頑張っても、一度壊れてしまったガラス(心)は元に戻りません。
しかし「破片をその手に。」と言うように、今の状態を受け入れて、目に見えないくらいの透明な光(幸せ)を見つけようと言うことを伝えたい曲なのかも知れません。
まとめ
いかがでしたか?
「硝子の線」は『タコピーの原罪』の物語の全てを表しており、今回の考察は『タコピーの原罪』を読んだ人と読んでいない人では、歌詞の意味が違ってくるかも知れません。
しかし「硝子の線」は、元に戻らない過去や傷、それらを受け入れて新しい未来や幸せを見つけようよと言うメッセージが込められた曲ではないかと考えられます。
また、今回 私はこの歌詞はこのキャラクターに対してと考察していますが、正直物語に登場する皆んなにも当てはめることができるのかなとも感じました。
是非、気になっていて読んだことがない方は「タコピーの原罪」を読んで「硝子の線」の意味を深めてみてはいかがですか?
今回の考察はここで終わりたいと思います。