皆様はノスタルジックな気分に浸る事はありますか?
ノスタルジックな気分になりたい時って私は音楽を聴いたりもするのですが、やっぱり「ヨルシカ」が圧倒的に大好きです。
この記事では、私の主観モリモリで「ヨルシカ」の魅力とオススメ曲を紹介していきます。
1 . 音楽の特徴:サウンドと歌詞の魅力
1-1.「儚さ」を感じるサウンド
ヨルシカの楽曲は、繊細でノスタルジックを感じさせるような懐かしい曲やギターの立った駆け抜けるような曲まで様々です。
しかし、どれもその奥にある細かなサウンドや、ボーカル「suis」さんの透き通るような歌声によって一貫してどこか「儚さ」を感じるような曲となっています。
しみじみとした1人の散歩には持ってこいです!
1-2. 「聴く小説」としての楽しみ方
ヨルシカの楽曲にはストーリー性があり、アルバム内の曲、もしくはアルバム同士がストーリーや登場人物を通じて繋がっている事が多くあります。
一曲一曲の完成は勿論、曲同士の横の繋がりを意識した大きな作品としても完成されているんです!
2 . 代表曲5選
ただ君に晴れ
YoutubeのMV再生回数は驚異の2億回超え!!
間違いなくヨルシカの名を知らしめるきっかけとなった一曲です。
“鳥居 乾いた雲 夏の匂いが頬を撫でる
大人になるまでほら、背伸びしたままで
遊び疲れたら バス停裏で空でも見よう
じきに夏が暮れても
きっときっと覚えてるから”
Aメロから抜粋した一部歌詞になります。
大人になってから、夏になるとやたら学生時代を思い返してしみじみとしてしまうことありますよね。
そんな郷愁的でどこかセンチメンタルな気持ちを詩として、そして楽曲として収めた夏の定番曲です。
MVではカットが大変多く使われており、断片的に残る学生時代の「君」との記憶をひとつひとつ切り貼りしてなんとか形にしたような表現がされています。
そして実は、MVではラストサビあたりに大人になった自分から「君」に宛てたメッセージがほんの一瞬だけ映るシーンがあるんです。
歌詞、メッセージ共に受け取り手である私たちの「あの頃の夏」がふと思い起こされるような印象的なものになっていますので、ぜひ探してみてください!
春泥棒
大成建設のCMソングにも起用された一曲。
YouTubeのMV再生回数は1億回を突破!
春を感じさせる爽やかなアコースティックギターが特徴的な一曲。
歌詞としては春の訪れから終いまでを、桜の花びらが舞う様子をもって表現したものになっています。
1番サビ最後
“ただ花が降るだけ晴れり
今、春吹雪”
降る花びらだけが視界を覆う本咲きを迎えた桜並木。
2番サビ最後
“花の隙間に空、散れり
まだ、春吹雪”
1番では視界を埋めるほどに降っていた桜の花びらですが、2番では花の数を減らしてきた木の隙間から空が見えるほどに減っています。
3番サビ
“花見は僕らだけ
散るなまだ、春吹雪”
そして3番では桜も散りに散り、花見客はとうとう「僕ら」だけになってしまいました。
さて、ラストサビでは桜の様子はどのように表現されるんでしょうか…。
n-bunaさんの表現力が光りますね!
MVはというと、ある女性の一人称視点で、夫と見られる男性との春の思い出を辿るような展開。
一見、夫婦の大して変わり映えない春を写したMVにも受け取れるんですが…。
しかしこの曲…
面白いのがMVを観ながらだと歌詞の意味合いが
全く変わってくるということです。
どういうことでしょうか…気になりますよね。
さて、私からここでヒント(?)をひとつ。
この曲に出てくる「春」は本当に季節の「春」なんでしょうか。
ぜひ、MVを細か〜く観ながら考えてみてくださいね!
晴る
アニメ『葬送のフリーレン』第2クールのOPテーマにも起用された一曲。
MVはわずか7ヶ月で3500万再生を突破しています。
「止まない雨はない」
雨に打たれるような落ち込んだAメロを、突風のようなサビが吹き飛ばし、晴天を見せてくれます。
そして私が好きな歌詞がありまして
“泣きに泣け、空よ泣け
泣いて雨のせい
降り頻る雨でさえ
雲の上では晴る”
こちらはは2番のサビの抜粋になります。
「雨が降っていようと、雨雲の上は常に晴れ」って言ってるんですよね。
考えたこともなかった視点だったので「ああ…!」と感嘆してしまいました
ちなみにこの楽曲、私的にはMVが衝撃的でして三度見する程でした。
MVに大きな壁が出てくるのですが、テーマ曲になっている『葬送のフリーレン』ではドイツ語由来のワードが多いので恐らくこの壁はベルリンの壁。
東西ドイツの分断は冷戦期のことで、実際にその間での戦争は起きていませんが「戦争による人々の分断の象徴」として登場している上、MVの中では戦争が起きています。
そんな国に暮らす父と子が主人公です。
子どもが大きくなり、父を無視するようになりましたが、毎日変わらず小さい頃に父と行った丘の上の絶景を見に行くんです。
「無視するくせにめっちゃお父さんのこと好きじゃん」と思うんですが…
少年がお父さんを無視する理由は何なんでしょうか?
ずーっとみていくと、最後に衝撃の事実が判明しますので、確かめてみてください!
だから僕は音楽をやめた
YoutubeのMV再生回数は1.8億回再生!!
この曲はとにかく終始ピアノがカッコよくて心地がいい…。
音楽をやめた青年「エイミー」が自らの人生を振り返り、いかにして音楽に出会い、どのように向き合い、そしてなぜ辞めてしまったのかを綴った作品。
アルバム『だから僕は音楽をやめた』とアルバム『エルマ』において繰り広げられる「エイミー」と「エルマ」の物語の一部としても重要なシーンとなっています。
ラストサビより一部抜粋
“僕だって信念があった
今じゃ塵みたいな想いだ
何度でも君を書いた
売れることこそがどうでもよかったんだ
本当だ 本当なんだ
昔はそうだった
だから僕は音楽をやめた”
結論から言うと、エイミーはエルマと音楽をやっていくうちに金儲けのことを考えてしまうようになってしまいました。
純粋に音楽を楽しむエルマと比べた時、自分の芸術に対する歪んだ想いに嫌気がさし、音楽をやめてしまったのです。
1番Aメロより一部抜粋
“辞めた筈のピアノ
机を弾く癖が抜けない”
しかし、このように彼自身音楽を捨てきれないでいる葛藤もまた、リアルに描かれています。
実は私自身、この葛藤の描写として凄く秀逸だと思った歌詞がありまして…
1番Aメロより一部抜粋
“心の中に 一つ線を引いても
どうしても消えなかった”
ここです!
単純に心の中に一つ斜線をひいて、音楽を消そうとしたとも取れるこの部分ですが、「心」を英訳して”Heart”にするとこの凄さに気づきます。
“Heart”に一つ斜線を引いてみると、”He”/”art”になります。
「彼」(エイミー)と「芸術」(音楽)になり、心の中に斜線をひいたとて彼の心から音楽がなくなることはないと言うことを婉曲的に示したわけですね。
意味がわかると鳥肌が立ちますよね!
n-bunaさんのこういった巧みな言葉遊びは他作品でも散見されるヨルシカの醍醐味です!
言って。
ポップなサウンドとMVで定評のあるこの楽曲。
ですが、歌詞は意外とシリアスだったりします。
この歌は、MVに出てくる女の子が恋する男の子(彼氏?)に対して宛てた歌でして、その男の子は実は既に…。
1番Aメロ
“あのね 私 実は気づいてるの
ほら 君がいったこと”
ここではひらがな表記されている「いったこと」
曲名から見ても、当たり前のように「言ったこと」よな。って思うんですが
1番サビ
“きっと 人生最後の日を前に思うのだろう
全部 全部言い足りなくて惜しいけど
あぁ いつか人生最後の日 君がいないことを
もっと もっと もっと
もっと ちゃんと言って”
なんだか「君がいない」とか雲行きが怪しくなってきまして…
2番Aメロ
“あのね 私 実はわかってるの
もう 君が逝ったこと”
まさか2番のAメロという絶妙なところで白から黒に変わるグロテスクな演出…。
このように1番→2番と進む毎に仕込まれているほんのわずかな歌詞の変化によって、徐々に真実が明らかになっていく仕様になっています。
YouTubeのMV再生回数は1.6億回超え。
(言っとくけど、ホントはシリアスなんだぞっ!)
暗いのが苦手な方は深入りしすぎずに、ポップなロックサウンドやMVの方に集中しておいてくださいね!
3 . オススメ曲5選
冬眠
冬眠
ヨルシカ – 負け犬にアンコールはいらない
疾走感と切なさを感じさせるイントロが、鼻にツーンと来る程に冷えた冬の朝を彷彿とさせます。
ラストサビ前より一部抜粋
“神様なんていないから
夢が叶うなんて嘘だから
仕事も学校も全部辞めにしよう”
おそらく、タイトルの「冬眠」は現実からの一時的な逃避を意味していて、遠く遠くの何処かに思いを馳せるような思春期特有(?)の逃避行癖のようなものを上手く表現されています。
歌詞では誰かとの別れや実らぬ恋を独自の繊細な詩、サウンドで事細かに描写。
この楽曲が提供してくれるのは「孤独」でもあり「静かで心地の良いひとりぼっち」でもあると思っています…。
エルマ
エルマ
ヨルシカ – だから僕は音楽を辞めた
音楽をやめた青年「エイミー」が、一緒に音楽をやっていた女の子「エルマ」に別れを告げる内容になっています。
1番サビより一部抜粋
“このまま何処かの遠い国で
浅い夏の隙間に寝そべったまま”
サビの一節ですが、幼少期にスウェーデンで暮らした経験のあるn-bunaさんにしか書けない唯一無二の逃避行の表現方法だと思っています。
定期的に現実逃避のために遠出する癖がある僕の「遠出プレイリスト」の中ではトップレベルの信頼をおいています。
さあ、エイミーはどこへ向かい、どうなるんでしょうか?
ノーチラス
エイミーとエルマの物語を締め括る一曲。
この曲、アルバムは女の子「エルマ」が、唐突に音楽をやめてしまった青年「エイミー」の行方を探しに、後を追う様子を描いた作品になります。
エルマがエイミーの後を追って追いついた末に見つけたのは、エイミーがエルマに宛てた置き手紙でした。
そこにはなんと記され、エイミーはどこに行ってしまったのでしょうか?
1番Aメロ
“時計が鳴ったから
やっと目を覚ました
昨日の風邪がちょっと嘘みたいだ
出かけようにも ああ
予報が雨模様だ
どうせ出ないのは
夜が明けないから
喉が渇くとか
心が痛いとか
人間の全部が邪魔してるんだよ”
自分の本心と現実の葛藤の末に、明らかに疲れ切った様子のエイミー。
彼の堕ちきってしまったが故の、生暖かい陽だまりをボーッと浴びているようなこの生活が、皮肉にもオーディエンスに居心地のよさを与える一曲。
MVでは、エルマはエイミーの逃亡した遠い国の果てにて彼の置き手紙を発見します。
そこには驚愕の真実/ラストが…。
ぜひ、お確かめください。
風を食む
TBS『NEWS23』のEDテーマに起用された一曲。
控えめな楽器、ボーカルsuisさんの囁くような声が1日の終わりを掬ってくれるような、そんな作品です。
1番Aメロ抜粋
“明日はきっと天気で
悪いことなんてないね
タイムカードを押して
僕は朝、目を開いた
僕らは今日も買ってる
足りないものしかなくて
靴を履きながら空想
空は高いのかな”
現代社会の「特別幸せでもないけど不幸でもない、それでいて満たされない」という何とも言い表せないような鬱憤を代弁し、昇華してくれるような優しさに溢れています。
ヨルシカの作詞作曲を担当しているn-bunaさんが次のようにコメントしています。
“タップひとつで物が買える現代社会で、消費することに疲れてしまった心を、最後に優しく包むような曲を書きたいと思いました”
仕事、バイト、学校、家事。それらの帰りにこの曲に身を委ねてみるのはいかがでしょうか。
床につくまでの少しの間だけでも、心の持ちようが変わる気がしています。
都落ち
万葉集 第2巻116番をモチーフに作られた一曲。
そのためか、歌詞でも少々古風な言い回しが施されているところがオシャレですね!
「都落ち」の意味は「都を(逃げるように)立ち去って、地方へ行くこと」
モチーフの作品と同様「互いに想いあっているはずが、訳あって実ることがない恋の末に未練を残さぬよう遠くへ去っていく」様子が描かれています。
これまた1人放浪旅に持って来いでございます。
古風な和を感じさせつつも、ポップでありながら、切ない。
この絶妙なバランスがクセになります。
この他にもたくさん紹介したい楽曲がありますが、今回はここまでです!
ぜひ、ヨルシカが独自に生み出す「音に乗せた小説」の世界観をご堪能ください!
コメント